とあるエンジニアのライフログ

記録しよう、なんでも

海辺のカフカ/村上春樹

世界的に評価の高い村上春樹中二病全開の作品。読んだのは二回目であるが読み返すと何を意図しているのかがぼんやりとわかってくる。まず最初にこの作品の本質や意図するところは言葉で説明することはできない。作中にあるように「言葉にした瞬間に意味のなくなる」ものだからである。この小説を「体験」するのが一番いい。ざっくり説明してみると、まだ十代である主人公が人生をタフに生き抜くために世界と向き合うための成長記録と言っていいだろう。

海辺のカフカ〈上〉

海辺のカフカ〈上〉

海辺のカフカ〈下〉

海辺のカフカ〈下〉

村上春樹の作品で何回読んでも一番好きなのは「風の歌を聴け」。読んでていつもすっきり気分を良くしてくれるのがいい。ユーモアのセンスが抜群にいい。僕が村上春樹が好きなのは「生きるためのちょっとしたヒント」を与えてくれるからだ。マツダのロードスターを愛することだとか、サラダを作ったり、水泳をしたり、本を読んだり、ジェイズ・バーでプール一杯分のビールを飲んだり。そういった生活が自分には絶対に必要だ。

風の歌を聴け (講談社文庫)

風の歌を聴け (講談社文庫)

村上春樹の作品が長い時代売れ続け社会現象と言えるほどに人々に支持される理由はやはり読みやすいからだろう。深く考えなくてもすっと私達の頭の中に溶け込み拡散しイメージやイマジネーションを増幅させてくれる。他の文学作品が難解でその世界観を理解するのに非常に集中力が必要とされるのに対し彼の作品は非常に読みやすい文章で構成されている。ちょうどジャズを聴くような素敵なリズムで物語は進み魅力的なキャラクター達のやりとりはユニークで心地よく私達の心を掴んで離さない。一方その文章の分かりやすさとは対照的に村上春樹の作品のテーマは恐ろしく深い。私自身もそのテーマの本質をほとんど理解してはおらず「たぶんこうではないか?」と考えながら常に読んでいる。読んだ後に何だったんだろう?という疑問符がいっぱいなのだがその”なんだかわからないがすごく興味が沸く”ものが私の好奇心をかきたてて離さない。村上春樹の作品はその本質を理解したほうが良いが、理解しなくてもいいのだと私は思う。